こんにちは、目黒モナーク動物病院、院長の佐藤です。
今回は猫の乳腺腫瘍についてお伝えします。
猫の乳腺腫瘍は85%~95%が悪性といわれています。
発見したときには小さくても徐々に成長してきます。1個だけだったのが増えたりもします。
浸潤性が高く、高確率でリンパ節や肺に転移します。
猫の乳腺腫瘍の治療としては、リンパ節や肺に転移する前に外科手術が有効です。
猫の乳腺腫瘍はほとんどが悪性のため、再発リスクを考え乳腺、リンパ節すべてを切除することが
推奨されています。
しかし、
今回紹介するのは、年齢や状態、腫瘍が成長することのデメリットを考えて、単一乳腺を切除したケースです。
20歳 日本猫 避妊雌
「股付近に小さな複数のしこりがある」1年前に気がつく。
→高齢ということもあり、経過観察をしていたところ、1年の間に少しずつ個数も増え
拡がってきました。
→転移や再発を考えれば乳腺組織全摘出がベストですが、高齢(20歳)であること
腎臓と肝臓が悪いこともあり、麻酔時間の短縮のため、術部範囲を大きくせずに
単一乳腺の切除(腫瘍を含む)を選択しました。
→術後、病理組織検査の結果、やはり乳腺癌でした。
猫の乳腺癌の場合、リンパ組織に転移が無くても肺に転移する事があるので、定期的な胸部レントゲン撮影が必要になります。
→昨年の4/23日の手術から今のところ転移や再発はなく、元気に過ごしています。