猫の診療を受けられる方にお願い
環境の変化によるストレスを感じやすい猫は病院に来院した時にストレスを多く感じてしまいます。普段の生活のなかで使っているタオルやおもちゃなどをキャリーやバッグの中にいれて来院してください。待合室でお待ちになる時には、タオルをキャリーやバッグの上にかけてお待ちください。
臆病で緊張しやすい性格である事をあらかじめお伝えしていただけると対応ができますので、宜しくお願いいたします。
猫の診察
緊張しやすい猫は診察にも注意が必要となります。
「大きな音をたてないように」「ゆっくりとした行動を」「目を合わせないようにする」など診察において心がけています。
また、キャリーやバッグの中での問診や診察をしながら、少しでも緊張感をやわらげるように配慮をしています。飼い主さまには診察を円滑にするためにストレスを最小限にすることを目的とした診療をご理解していただきご協力をお願いいたします。
猫の治療方針
環境の変化によるストレスを感じやすい猫は、通院や入院による治療に対して友好的ではない場合もあります。治療の効果は院内よりいつもいる場所で、飼い主さまによる治療が効果的な場合もあります。
病気に対する理解と治療内容による効果やリスクなどをご説明し、今後の治療計画や日々をどのように過ごしていくのかを一緒に考えながら、飼い主さまと猫にとって最善の治療を見つけ、不安や負担を少しでも軽減できるようトータルでサポートしています。
一度の説明ではご理解頂ける範囲は僅かであると思います。
特に治療内容、それに伴う効果、リスクなど、質問内容は多岐に渡ると思いますので、疑問に思う事などご質問ください。
猫の健康を考える
症状がでていても痛みを隠してしまうことが猫は多く、飼い主さまの気づきと病気の進行度合いが比例していないことにより、病気が悪化していることが多々あります。病気を患う前に全身の健康状態を評価し、病気を未然に防ぐことを目的とした健診を行うことにより、猫の変化に気づき、病気や習性を理解しながら健康を維持するためにどうするかを考えていきます。
また、定期健診による通常の状態を把握しておくことが、何かあった時に役立つ情報のひとつでもあります。
健康時の評価があると役立ちます。
通常の健康状態を把握しておくで、具合が悪くなった時に毎年行った検査結果が診断に役立つ情報のひとつでもあります。
病気の早期発見につながります。
病気の症状を話せない動物たちは、飼い主さまが気づいたときには症状が進行していることが多いため、「健診」を行うことにより、早期発見につながります。
1年で4~5歳、年齢を重ねていくといわれています。
当院では、飼い主さまとともに年齢や今後のありえる病気などを考えながら年1回~2回の「健診」を行う提案をしています。
幼少時期から定期的なチェックをしましょう。
環境の変化によるストレスを感じやすい猫は病気になってから検査や治療などに対してストレスを感じてしまいます。小さな時から体重のチェックや診察に慣れさせていくことをおすすめします。飼い主さまも病院での猫の様子などを観察することにより今後の対応などに役立ちます。
血液一般検査では、数多くの病気のリスクについて調べることができます。具体的には、肝臓・腎臓・内分泌の異常、貧血、脂質異常症、糖尿病などです。
検査名 | 検査項目 | 内容 |
---|---|---|
血液検査① | 貧血:RBC、Hb、WBC、HT、血小板 肝機能:GOT、GPT、GGT 糖尿:血糖、HbA1c、糖化アルブミン 血中脂質:TG、HDL-CHO、LDL-CHO 電解質:Na・K・Cl |
基本的な血液の異常、肝機能、糖尿病、高脂血症をチェックする検査です。 |
血液検査② | ※血液検査①に下記が加わった検査です。 肝機能:TP・ALP・ALB・T-Bil・ChE・TBA 腎機能:尿酸・尿素窒素、クレアチニン・SDMA 膵機能:V‐LIPA、膵特異的リパーゼ・アミラーゼ 甲状腺機能:T4 ft4 TSH |
①に加えてさらに細かく「肝機能」「腎機能」「膵機能」「内分泌機能」を検査します。 |
疾患に対する早期発見のための検診を組み合わせておこないます。
各種疾患に対して特定の病気を探すための「検診」を行い、病気かどうかの早期発見を目的とした検診をすることにより、早期治療に対する準備に生かせます。
猫に多い腎疾患や腫瘍(がん)・心疾患・内分泌疾患など定期検診のプランを年齢や生活環境に合わせ、飼い主さまと考えながら、計画をたてていきます。当院の「予防医療」の観点から猫の健康検診について重点をおいています。
高齢になるほど多くみられる疾患
循環器疾患・肝・胆道疾患・泌尿器疾患・内分泌疾患・眼の疾患・呼吸器疾患、歯・口腔疾患・筋骨格系疾患・腫瘍疾患が高齢になるほど増加傾向にあります。各疾患に対する早期発見のための検診を組み合わせておこないます。
猫の疾患には、腎臓疾患やホルモン疾患・腫瘍や口腔内の疾患などさまざまです。
遺伝による疾患や年齢とともに患ってしまう病気など多岐に渡ります。同じ疾患であっても飼われている動物の治療はそれぞれ違います。症状から必要と考えられる検査内容や治療法を提案し、飼い主さまの不安な気持ちを配慮しながら方針を考えます。
猫に多い各種疾患
症状や程度に合わせて最適な治療法を提案しています。
各種疾患は様々な病態が絡んでいる場合があるため、総合的に診断する必要があることもあります。日常生活の中での環境や習慣をお聞きしながら、必要な検査や治療方針をご説明しています。
病気を未然に防ぐための「予防」に重点をおいています。
手術の必要性
避妊手術は子宮の病気、乳がん、不必要な出産の防止、去勢手術はマーキングや夜鳴きなどの好ましくない行動や前立腺疾患を予防するのに役立ちます。また、ホルモンによってバランスが崩れ、いろいろな問題やストレスが起こりやすくなります。
猫は外での喧嘩による咬み傷による感染防止にもなります。いろいろな問題を予防というかたちで、防ぐことができますので病気になる前にお考えください。不安なことなどお気軽にご相談ください。
避妊手術で予防できる病気
子宮蓄膿症や卵巣および乳腺の腫瘍を高い確率で予防できます。乳腺腫瘍の予防は手術の時期が重要になりますのでご相談ください。
予防という観点から、生後6か月までに手術を行うことが理想ですが、悩まれている方はご相談ください。また、避妊によるメリットとデメリットについて十分に考え選択することをお勧めしています。
全身麻酔を行う上で手術当日に、身体検査に加え、血液検査やレントゲン検査を行います。異常がみられた場合はすぐにご連絡いたします。
去勢手術で予防できる病気
性ホルモンによる腫瘍などの予防につながります。ストレス軽減や問題行動の改善にもつながります。
思春期を迎える前が理想ですが、悩まれている方はご相談ください。また、去勢によるメリットとデメリットについて十分に考え選択することをお勧めしています。
全身麻酔を行う上で手術当日に、身体検査に加え、血液検査やレントゲン検査を行います。異常がみられた場合はすぐにご連絡いたします。
結紮法による手術を基本としています。学会や論文などで、体内に残した縫合糸が引き起こす「縫合糸反応性肉芽腫」という病気が報告されています。
無結紮手術とは、卵巣、子宮や精巣の切除時に縫合糸などを用いず腹腔内に一切体内で反応する異物を残さない方法です。
特殊なシーリング電気メスで縫合糸の代わりに止血します。これにより「縫合糸反応性肉芽腫」の心配はなくなります。どの子が発症するかわかりませんから、体に糸を残さないことが唯一の予防策となります。
一口にワクチンと言っても様々な種類があります。当院では飼い主さまの生活環境にあわせてワクチンの種類を選択していただいております。
当院のワクチネーションの取り組み
世界小動物獣医師会(WSAVA)の犬と猫のワクチネーションガイドラインに従い、動物に負担の少ないワクチンプログラムを取り入れています。ワクチンの接種回数を減らすことで、まれに猫のアレルギーや猫の注射部位肉芽腫などの副作用を軽減し、動物にやさしいワクチンプログラムを提供していきたいと考えています。
ワクチン予防接種の必要性
ワクチンを接種することにより、あらかじめウイルスや細菌(病原体)に対する免疫(抵抗力)を作り出します。このワクチンによる免疫によって感染症の発症あるいは重症化を予防することができます。
多くの動物が予防接種を受けることで免疫を獲得していると、集団の中に感染症を患っている動物がいても感染を阻止することができる「集団免疫効果」が発揮されます。
また、高齢に伴い、疾患によって、ワクチン接種することができない動物を守ることにもつながります。当院の予防医療の観点から推奨し、地域の動物たちを守ることにもつながると考えています
コアワクチンとノンコアワクチンによる予防の違い
ワクチンには、コアワクチンとノンコアワクチンの2種類があります。コアワクチンは免疫が長期間持続でき、ノンコアワクチンは持続が短い為、感染のリスクに応じて接種するワクチンです。生活環境にあわせてワクチンの種類を選択していきます。
猫汎白血球減少症
猫ウイルス性鼻気管炎
猫カリシウイルス感染症
全ての猫に必要なワクチンです。
3年に1回の接種を推奨しています。
猫白血球ウィルス(Felv)
猫免疫不全ウィルス
クラミジア
生活環境にあわせて必要なワクチンです。
1年に1回の接種を推奨しています。
猫のワクチネーション
・子猫は生後8週、12週、16週齢の計3回
・その1年後に1回行った後、当院では室内で暮らす猫は3年に1回、外に行く猫は年1回のワクチン接種を推奨しています。
ワクチン接種時に注意していただきたいこと
※ワクチン接種は接種後に注意が必用です。できるだけ「午前中の来院」をお願いします。体調のよい日を選んでください。
ズーノシス(人畜共通感染症)の1つです。狂犬病は、全てのほ乳類にうつります。世界的に見ると、現在狂犬病の発生報告がない国は、日本、イギリス、スウェーデン、ノルウェー、ニュージーランドなど、ほんの数カ国です。
海外に渡航する場合は国によっては義務づけられています。
激しいかゆみで肉体的、精神的なストレスを与えるノミ・マダニの被害。痒みだけでなく、重大な問題も引き起こし、人に対しても害を及ぼすことがあります。
成虫ノミが5匹付いていたら、周囲の環境には95匹の未成熟ノミが潜んでいます。また、マダニを発見したら決して無理にとらないでください。咬傷が化膿したり、炎症を起こしたり、病原体をうつしたりします。もし、ノミ・マダニを見つけたら、すぐにご相談下さい。
チェック項目に当てはまる猫はノミ・マダニ・フィラリア予防を推奨しています
ノミ・マダニの予防対策
・月1回の駆除でノミ対策を
・月1回の駆除でマダニ対策を
→ 詳しくは犬のノミ・マダニ・フィラリア予防へ
ズーノシス(人畜共通感染症)
生活環境の中で気をつけられるものには注意をして、猫の排泄物はすぐに処理し、処理した後は、よく手を洗いましょう。濃厚接触にも気をつけるように心がけましょう。また、寄生虫などの駆除も必要になります。
(パスツレラ症/猫ひっかき病/トキソプラズマ症/Q熱など)
マイクロチップの必要性
突然の迷子、災害、盗難、事故…ペットは住所も名前もいえません。そんなとき、マイクロチップは確実な身元証明になります。
マイクロチップとは
マイクロチップは、直径2㎜、長さ約8~12㎜の円筒形の電子標識器具で、内部はIC、コンデンサ、 電極コイルからなり、外側は生体適合ガラスで覆われています。
それぞれのチップには、世界で唯一の15桁の数字(番号)が記録されており、この番号を専用のリーダー(読取器)で読み取ることができます。
安全で確実な動物の個体識別(身元証明)の方法として、ヨーロッパやアメリカをはじめ、世界中で広く使われています。
わが国でも、近年犬や猫などのペットを中心として利用者が増加しています。
マイクロチップによる個体識別
・動物愛護管理法では、犬や猫などの動物の所有者は、自分の所有であることを明らかにするために、マイクロチップの装着等を行うべき旨が定められています。
・特定動物(危険な動物)や特定外来生物を飼う場合には、マイクロチップの埋込みが義務づけられています。
・犬や猫を海外から日本に持ち込む場合には、マイクロチップなどで確実に個体識別をしておく必要があります。また、海外に連れて行くときには、マイクロチップが埋め込まれていないと持ち込めない国があります。
飼い主データなどの登録の方法
・マイクロチップの番号と飼い主の名前、住所、連絡先などのデータを、飼い主が「動物ID普及推進会議(AIPO)」のデータベースに登録します。登録料は1千円です。
・特定動物(危険な動物)や特定外来生物を飼う場合には、別途、特定動物の場合はお住まいの都道府県又は政令市に、 特定外来生物の場合はお近くの地方環境事務所にマイクロチップの番号などを報告する必要があります。
埋込みの方法
・通常の注射針より少し太い専用のインジェクター(チップ注入器)を使って体内に注入します。正常な状態であれば、 体内で移動することはほとんどありません。
・痛みは普通の注射と同じくらいといわれており、鎮静剤や麻酔薬などは通常は必要ありません。
・埋込場所は、動物の種類によって異なりますが、犬や猫の場合では、背側頚部(首の後ろ)皮下が一般的です。
・犬は生後2週齢、猫は生後4週齢頃から埋込みができるといわれています。
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